【第49帖】宿木(やどりぎ)【源氏物語あらすじ・解説】
薫25歳の春から26歳の夏にかけてのお話。
あらすじ
女二宮と薫
女二宮は、裳着の式を控えた直前に母女御を亡くし、後見人もいませんでした。
そんな女二宮を、帝は薫に託したいと考えます。
薫は亡き大君を忘れられず気が進みませんでしたが、帝の意を受けて藤壺へと通うようになります。薫が渋々通うような様子なので、周囲は少し困惑しているようでした。
そんな薫でしたが、帝に女二宮を自邸である三条の邸に迎えたいと申し出ます。
六の君と匂宮と中君
夕霧は薫と女二の宮のことを知り、娘である六の君を匂宮と縁組ませることにしました。八月十六日が婚儀の日と決まりました。
匂宮に迎えられて二条院に住んでいる中君にとって、この婚儀は大変な衝撃でした。
中君は五月頃に懐妊し、体調の悪い状態が続いていましたが、匂宮がそのことに気付く様子もなく、中君にとっては心さびしい日々が続いていました。
後見人である薫には「宇治に帰りたい」と告げるものの、諌められてしまいます。
匂宮はというと、気の進まぬまま夕霧の婿となったものの、六の君の美しさのとりこになっており、自然と中君には夜離れ(よがれ)が多くなっていました。
薫と中君
中君にとって、相談相手になり慰めてくれるのは薫でした。
しかし薫の中君への同情は、しだいに慕情へと変わっていきました。
ある夜、ついに薫は中君に思いを打ち明けて近づきます。しかし懐妊中である中君を思い自制します。
匂宮が帰って来ると、匂宮は中君に薫の移り香を感じて怪しく思います。
匂宮は次第に中君のもとにいることが多くなりました。
翌年二月、中君は無事男児を出産します。
浮舟
薫は権大納言兼右大将に昇進し、女二宮と結婚し、女二宮は三条宮で暮らすようになっていました。
四月下旬、宇治を訪ねた薫は偶然、初瀬詣で(長谷寺参詣)の帰路に宇治の邸に立ち寄った浮舟一行と出会います。
中君は以前、薫の気持ちをそらそうとして、亡き大君に似た浮舟という異母妹がいることを薫に教えていたのです。
垣間見た浮舟が亡き大君に似ていることに驚き、薫は弁の尼に仲立ちを願い出ます。