95番歌 おほけなく(前大僧正慈円)
藤咲まよい
咲くやこのはな
ひともをし ひともうらめし あぢきなく よをおもふゆゑに ものおもふみは
あるときには人をいとおしく思い、あるときには人をうらめしく思う。思うようにならないと思いながらも世の中のことを思うから、私はあれこれと思い悩む。
「をし」は漢字で書くと「愛し」となり、人をいとおしく思うという意味になります。
ほぼ直訳になってしまいますが、「愛し」と「恨めし」という、対極する感情が入って、後鳥羽院の深いためいきが聞こえてきそうな一首です。
壇ノ浦の戦いで平家とともに亡くなった安徳天皇の次に、四歳で即位しました。そのため即位の際にも神器がそろわず混乱があったようです。
鎌倉幕府とも権力争いを行い、最終的には承久の乱で敗北、隠岐へ流されました。
文化面では宮中に和歌所を置き、藤原定家らに『新古今集』をつくらせました。
この歌は承久の乱の9年前に詠まれたとされています。