【第12帖】須磨(すま)【源氏物語あらすじ・解説】
藤咲
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光源氏26歳3月から27歳3月のお話。
対訳にはなっていませんので、ご注意ください。
あらすじ
朧月夜との仲が発覚し、大臣の一族からの攻勢に源氏は追いつめられていた。
このままでは後見する東宮に累が及ぶかも知れず、源氏は京を去り、須磨へ退去しようかと考えていた。
須磨は昔は家が多くあったが、今は人も少なくなり、漁夫も減っているという噂である。と、いえども、田舎という割には人が多い場所でもある。
源氏は迷ったが、須磨に行くと決意した。
あまり京から離れて田舎に行くのも、残していく夫人のことを考えると気がかりだったのだ。
紫の上はいっしょに行きたいと言ったが、そのような寂しい場所へ貴女を伴うのも不憫に思われ、連れてはいかないことにした。
一日離れているのも寂しいのに、いつまた再会できるか分からない別れである。
左大臣家を始めとする親しい人々や藤壺に暇乞いをし、東宮や女君たちには別れの文を送り、一人残してゆく紫の上には領地や財産をすべて託した。
関わりのある女君たちに別れを告げ、紫の上の身上を心配しつつ京を去る源氏の姿は、あわれぶかい。
須磨へ発つ直前、桐壺帝の御陵に参拝したところ、生前の父帝の幻がはっきり目の前に現れ、源氏は悲しみを新たにする。
須磨の侘び住まいで、源氏は都の人々と便りを交わしたり絵を描いたりしつつ、淋しい日々を送る。
一方で隣国の明石入道は、須磨に源氏が仮寓することを知って娘との結婚を画策する。
つれづれの物語に明石の君の噂を聞き、また都から頭中将がはるばる訪ねてきて、一時の再会を喜び合った。
やがて三月上巳の日、海辺で祓えを執り行った矢先に恐ろしい嵐が須磨一帯を襲い、源氏一行は皆恐怖におののいた。