小倉百人一首

20番歌 わびぬれば(元良親王)

わびぬれば いまはたおなじ 難波なる みをつくしても あはむとぞ思ふ

ぬれば いまはたおなじ なにはなる みをつくしても あはむとぞおもふ

身の破滅となってもあなたに逢いたい、という情熱的な一首です。

現代語訳

これほど思い悩んでいるのはもはや身が破滅しているのと同じです。難波にある澪標のように、この身が破滅してしまってもあなたに逢いたい。

澪標(みをつくし)は、舟に水路を知らせるために海や川に立てた杭のことで、「身を尽くし」との掛詞になっています。

水の上に浮かぶ杭がさびしい雰囲気を醸し出すとともに、周囲の水自体があふれた涙を連想させます。そして「逢いたい」という気持ちの強さをより引き立てています。

作者:元良親王

13番歌の作者陽成院の第一皇子です。

当時から有名なプレイボーイで、『元良親王集』『大和物語』に多くの恋愛話が書かれています。

この歌は『後撰和歌集』の詞書によると、宇多天皇の女御である褒子への歌です。

褒子は左大臣時平の娘で、もともとは醍醐天皇に入内する予定でした。それを宇多天皇が女御として迎えてしまった女性です。そんな女性と密通することは、まさに「身の破滅」となる行為です。

情熱的で激しい感情が伝わってくる歌ですが、背景を知ると決して大げさな歌ではない、思いつめた歌だということが分かります。

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