小倉百人一首 21-30
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22番歌 ふくからに(文屋康秀)

藤村さき
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吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ

くからに あきのくさきの しをるれば むべやまかぜを あらしといふらむ

一字決まりの七首「む・す・め・ふ・さ・ほ・せ」のひとつです。

現代語訳

吹くとすぐ秋の草木がしおれるので、なるほどそれで山風を「荒らし(嵐)」というのだろう。

「荒らし」と「嵐」で掛詞になっていると同時に、山と風で嵐、という字合わせになっています。

「むべ」は「うべ」と同義で、推量を表す言葉とともに用いられることが多い単語です。中古以降は「むべ」とも表されるようになりました。

この歌は、息子の朝康の作であるとも言われています。

離合詩の影響

「山」+「風」=「嵐」などの字合わせの文字遊びは、中国六朝の離合詩の影響を受けたものです。

しかし、こうした漢字の成り立ちと意味が自然の摂理と合致しており、そこに新しい発見や感動も加わった、言葉遊びだけではない一首になっています。

離合詩の影響を受けた他の文字遊びの例

「山」+「山」=「出」

「人」+「山」=「仙」

「木」+「毎」=「梅」

「十」+「八」+「公」=「松」

など、たくさんあります。もっと複雑なものや、現代もつくられている新しい言葉遊び・なぞなぞなど、漢字を分解して遊ぶ文化は今でも受け継がれ続けています

作者:文屋康秀

文琳とも呼ばれ、9世紀後半の人で、身分はそれほど高くありませんでした。

「六歌仙」「中古三十六歌仙」のひとりです。

37番歌の作者文屋朝康の父にあたります。

小野小町に「赴任先に一緒に行かないか?」と誘っており、仲が良かったと言われています。

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