78番歌 あはぢしま(源兼昌)
藤村さき
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淡路島 かよふ千鳥の なく声に 幾夜ねざめぬ 須磨の関守
あはぢしま かよふちどりの なくこゑに いくよめざめぬ すまのせきもり
『金葉和歌集』(冬・二八八)から採択されました。詞書によると「関路千鳥といへることをよめる」とあります。
現代語訳
淡路島へとわたる千鳥の鳴く声に、いったい幾夜目覚めたことだろう。須磨の関守は。
当時はすでに須磨の関は廃止されたあとでしたが、もの悲しい千鳥の鳴き声を聞いた旅人が、昔の関守のことを思って詠んだ歌です。
須磨
現在の兵庫県神戸市須磨区。
須磨の関がありましたが、平安時代前期に廃されています。
16番歌の作者である在原中納言行平が閑居した土地で、『源氏物語』でも光源氏が流された土地です。『源氏物語』須磨巻でも、光源氏が中納言行平を思ったり、千鳥の鳴き声について語ったりしています。
作者:源兼昌
1100年頃の人です。堀河天皇・鳥羽天皇に仕えました。
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