【第31帖】真木柱(まきばしら)【源氏物語あらすじ・解説】
光源氏37歳の冬から38歳の初春の話。
あらすじ
髭黒と玉鬘
尚侍として出仕を控えていた玉鬘だったが、その直前に髭黒が女房の手引きで強引に契りを交わしてしまう。
若く美しい玉鬘を得て有頂天の髭黒を、源氏は内心の衝撃を押し隠して丁重に婿としてもてなした。
無骨で雅さに欠ける髭黒と心ならずも結婚することになった当の玉鬘はすっかりしおれきり、恥ずかしさに源氏とも顔を合わせられない。
一方で玉鬘の実父である内大臣は、姉妹の弘徽殿女御と冷泉帝の寵を争うよりは良いとこの縁談を歓迎し、源氏の計らいに感謝した。
髭黒と北の方
髭黒はその後玉鬘を迎えるために邸の改築に取り掛かる。
その様子に今はすっかり見捨てられた北の方は絶望し、父親の式部卿宮も実家に戻らせようと考える。
髭黒もさすがにそれは世間体も悪いと引き止めたものの、いざ玉鬘のところへ出発しようとした矢先、突然狂乱した北の方に香炉の灰を浴びせられる。
この事件で完全に北の方に愛想を尽かした髭黒は玉鬘の下に入り浸り、とうとう業を煮やした式部卿宮は、髭黒の留守の間に北の方と子供たちを迎えにやる。
髭黒の娘
髭黒の可愛がっていた娘(真木柱)だけは父の帰りを待つと言い張ったが、別れの歌を邸の柱に残して泣く泣く連れられていった。
後でそれを知った髭黒も涙し、宮家を訪れて対面を願ったが、返されたのは息子たちだけだった。
玉鬘の出仕
明けて新年。
塞ぎこんだままの玉鬘に髭黒もようやく出仕を許す気になり、玉鬘は華々しく参内する。
早速訪れた冷泉帝は噂以上の玉鬘の美しさに魅了されて熱心に想いを訴え、それに慌てた髭黒は退出をせきたて、そのまま玉鬘を連れ帰ってしまった。
源氏は悔しさを噛みしめ、なおも未練がましく幾度か文を送ったが、それも髭黒に隔てられて思うに任せない。
玉鬘の出産
やがて玉鬘は男子を出産。
その後は出仕することもなく、髭黒の正室として家庭に落ち着いた。