小倉百人一首 91-100
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97番歌 こぬひとを(権中納言定家)

藤村さき
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こぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くやもしほの 身もこがれつつ

ひとを まつほのうらの ゆふなぎに やくやもしほの みもこがれつつ

本歌取りの一首で、『万葉集』の長歌が本歌となっています。本歌では恋焦がれる男の歌になっていますが、この歌では逆に、恋焦がれる女の歌となっています。

現代語訳

来ない人を待っているわたし。松帆の浦で夕方の風の無い蒸し暑いときに藻塩を焼きましょう。まるでその藻塩のように、私の心も恋で焼き焦がしながら。

「凪」のときには風も潮も止まるので、物事が進展しない、停滞する、という象徴にもなります。

「松帆の浦」はどこ?

「松帆の浦」は、淡路島の最北部、海岸に沿って広がる平野です。

古来より製塩が盛んで、松林があります。

「松帆の浦」は昔から明石海峡を渡るために利用され、海峡が荒れたときには、人々はここで風待ちや潮待ちをしていました。

それが「松帆(待つ帆)」の由来と言われています。

群馬県高崎市「定家神社」

群馬県高崎市の「定家神社」は、この歌にあやかって恋愛成就のご利益があるそうですよ。

作者:権中納言定家

作者は権中納言定家、藤原定家のことです。

この『小倉百人一首』の原典選者と言われている方です。

『新古今集』『新勅撰集』の撰者でもあり、本人の日記として『明月記』が残されています。

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