小倉百人一首 91-100
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95番歌 おほけなく(前大僧正慈円)

藤村さき
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おほけなく うき世の民に おほふかな わが立つ杣に 墨染の袖

おほなく うきよのたみに おほふかな わがたつそまに すみぞめのそで

現代語訳

身の程知らずにも、わたしは憂き世の民に覆いをかけましょう。「わが立つ杣」と伝教大師が詠まれたこの比叡山の僧として、この法衣の墨染めの袖を、その覆いといたしましょう。

若い時に詠んだこの歌は、これから僧として生きる決意の程が述べられた一首と言えますね。

語句について

「わが立つ杣」というのは比叡山のことです。

「墨染の袖」は、僧侶が着る法衣を表しています。

作者:前大僧正慈円

76番歌を詠んだ藤原忠通の子です。91番歌を詠んだ藤原良経からは叔父にあたります。

11歳で出家し、生涯で四度も天台座主になった人物です。

史論書として『愚管抄(ぐかんしょう)』、家集として『拾玉集(しゅうぎょくしゅう)』を著しています。

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