【第33帖】藤裏葉(ふじのうらは)【源氏物語あらすじ・解説】
光源氏39歳3月~10月のお話。
対訳にはなっていませんのでご注意ください。
あらすじ
夕霧と雲居の雁の恋を無理矢理引き裂いてから数年が経ちました。
二人のことは世間にも知られており、今更違う相手と娘を結婚させるのは風聞も悪い。
夕霧の方から結婚を申し込む様子もないため、内大臣は自分が折れるべきかと考え始めていました。
内大臣は、母である大宮の法事の席で、夕霧の袖をひき話しかけます。大宮はふたりの祖母でもありました。
内大臣の話しかけに夕霧は戸惑い、もしや許してもらえるのかと思い、その夜は煩悶しながら過ごすのでした。
夕霧と雲居の雁の結婚
四月になり、自邸で藤の花の宴を開くという内大臣の口上を持った息子の柏木が、夕霧を迎えにやってきます。
緊張している夕霧に源氏は出かけるよう促し、着替え用にと自らの上等な衣服を選び与えます。
藤の花の宴で、内大臣はかねての仲であった娘の雲居の雁と夕霧の結婚を認めます。
仲睦まじい夫婦の誕生に、源氏は親心に嬉しく夕霧の辛抱強さを褒めるのでした。
いざ結婚させてみると、後宮での競争の多い入内より、立派な婿を迎えた今の結婚の方が幸せだと内大臣も思うようになり、心から喜んで夕霧を大切に扱うのでした。
明石の姫君の入内
一方、源氏の娘である明石の姫君は、宮中入りが決まります。
源氏は自分に遠慮して、入内を控える貴族が多い事を憂慮し、明石の姫君の入内を延期し、他の貴族にも姫君の入内を働きかけました。
このことから、さっそく左大臣の姫(この姫君はのちに藤壺女御と呼ばれ、薫の妻である女二宮の母となります)が入内し、殿舎は麗景殿に決まりました。
明石の姫君の養母である紫の上は、姫に付き添えません。そこで生き別れた姫の実母である明石の君に後見役を譲ります。
明石の君の喜びはとても大きいものでした。
姫が入内し、入れ違いになった二人の母はこのとき初めて対面します。
互いに相手の美点を見いだして認め合った二人は、これまでのわだかまりもとけ、心を通わせるのでした。
秋
秋になり、源氏は四十の賀を控えて准太上天皇の待遇を受け、内大臣は太政大臣に昇任します。
夕霧も中納言に昇進し、これを機に大宮がかつて住んでいた三条の邸を改装し、雲居の雁とともに移り住むことになりました。
六条院への行幸
十一月、紅葉の六条院へ冷泉帝と朱雀院が揃って行幸し、華やかな宴が催されました。
こうして、源氏が少年の日の受けた高麗人の予言は実現を見、源氏は栄華の絶頂に立ったのです。