【第46帖】椎本(しいがもと)【源氏物語あらすじ・解説】
薫23歳の春二月から24歳の夏の話。
対訳にはなっていませんのでご注意ください。
あらすじ
匂宮、宇治の夕霧の別荘に立ち寄る
二月二十日ごろ、宇治の姫君たちに関心があった匂宮は、初瀬詣で(長谷寺参詣)の帰りに宇治の夕霧の別荘に立ち寄ります。
匂宮は、薫や夕霧の子息たちといっしょに碁や双六をしたり、琴を弾いたりして楽しく過ごしました。
八の宮
宇治川を挟んだ対岸には、八の宮邸がありました。
八の宮邸にも、匂宮たちのにぎやかな管弦の音が響いていました。その音は、八の宮に昔の宮中での栄華の日々を思い出させます。
翌日、八の宮から薫に贈歌があり、それを見た匂宮が代わりに返歌します。
匂宮は帰京後もしばしば宇治に歌を送るようになり、八の宮はその返歌を常に中君に書かせるようになりました。
八の宮の死
今年が重い厄年にあたる八の宮は、薫に姫君たちの後見を托します。
一方で姫君たちには、軽々しく結婚して宇治を離れ俗世に恥をさらすな、この山里に一生を過ごすのがよいと戒めていました。
八の宮は宇治の山寺に参籠しに出かけ、そこで亡くなりました。八月二十日のころでした。
訃報を知った姫君たちは、父の亡骸との対面を望みますが、阿闍梨に厳しく断られてしまいます。
薫や匂宮は弔問に八の宮邸を訪れましたが、悲しみに沈む姫君たちはなかなか心を開くことはありませんでした。
年の暮れの薫の様子
年の暮れの雪の日、宇治を訪れた薫は大君と対面します。
匂宮と中君の縁談を持ち上げつつ、自分の恋心をも訴え、大君を京に迎えたいと申し出ますが、大君が取り合うことはありませんでした。
春の匂宮と薫の様子
翌年の春、匂宮の中君への思いはますます募っていきました。夕霧の六の君との縁談にも気が進みません。
また、薫も自邸の三条宮が焼失した後始末などで、久しく宇治を訪ねていませんでした。
夏の薫の様子
夏、宇治を訪れた薫は、喪服姿の姫君たちを垣間見て、大君の美しさにますます惹かれてゆくのでした。