【第50帖】東屋(あずまや)【源氏物語あらすじ・解説】
薫26歳の八月から九月にかけてのお話。
対訳にはなっておりませんのでご注意ください。
あらすじ
身分の違い
薫は、亡き大君に似た浮舟に関心を持ちつつも、受領の継娘という身分の低さにためらっていた。
浮舟の母である中将の君も、身分違いの縁談に消極的だった。
浮舟の生まれと育ち
浮舟は、宇治八の宮とその女房であった中将の君との間に生まれた娘だった。
しかし宮には認知されず、中将の君はまもなく浮舟を連れて、陸奥守(のちに常陸介)と再婚し、東国に長く下っていた。
常陸介との間にも数多の子をもうけていたが、高貴の血を引き一際美しい浮舟をことさら大事に育て、良縁をしきりに願っていた。
匂宮と浮舟
受領ながらも裕福で、家柄も卑しくない常陸介のところには、それを目当てにした求婚者が多かった。
20歳を過ぎた浮舟は、そのうちの左近の少将と婚約した。
けれども財産目当ての少将は、浮舟が常陸介の実子でないと知るや、実の娘である妹に乗りかえて結婚した。
中将の君は浮舟を不憫に思い、彼女を二条院にいる中君のもとに預けに行く。
ところが匂宮が偶然浮舟を見つけ、強引に言い寄る。
しかし御所からの知らせで明石の中宮が倒れた事を知らされ、匂宮は浮舟に未練を残しつつ出かけたため、未遂に終わった。
姉の夫に言い寄られ、浮舟はいたたまれない思いだった。
騒ぎを聞き彼女の様子を見て、中君もまた心を痛めた。
浮舟の乳母から顛末を聞き、中将の君は驚いて彼女を引き取り三条の小家に隠した。
薫と浮舟
秋九月、薫は浮舟が三条の隠れ家にいることを知り、弁の尼に仲立ちを頼んでその小家を訪れた。
そして翌朝、浮舟を車で宇治に連れて行ってしまった。
薫は浮舟に大君の面影を映し見ていた。
しかし、浮舟は顔は亡き大君に瓜二つではあるものの、教養は彼女とは比べ物にならないぐらい程遠いと感じていた。
そして、今後の浮舟の扱いに思い悩むのだった。