小倉百人一首 21-30
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24番歌 このたびは(菅家)

藤村さき
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このたびは ぬさもとりあへず 手向山 もみぢのにしき 神のまにまに

たびは ぬさもとりあへず たむけやま もみぢのにしき かみのまにまに

宇多上皇の狩猟を目的とした御幸に随伴した際に、道真が詠んだ歌です。

当時の狩猟は宗教的儀礼でもあり、支配の象徴でもありました。

現代語訳

今回の旅は急なことで、幣の用意も出来ておりません。手向山の神よ、どうぞこの山の紅葉を思うままにお納めください。

「たび」には「度」と「旅」がかかり、「手向山」には地名そのものと神への手向けの意味がかかっています。

「手向山」は山城国から大和国へと出る途中にあった奈良山の一部を指しています。

「ぬさ」は漢字で書くと「幣」です。これは旅の安全を祈るために道の神様に捧げるもので、絹布・紙で出来ています。

山の紅葉を神に捧げようという発想は、傲慢な発想にも思えます。一臣下である道真がこのような歌を詠んだ・詠めた背景には、今回の旅が宇多上皇に随行しての狩猟の旅だった、ということが挙げられます。

『古事記』には、狩猟をする雄略天皇に土地の神々が服属を誓う、という場面があります。

宇多上皇の権威性を知らしめるという役割も、この歌には込められていると考えられます。

作者:菅家

作者の菅家は菅原道真のことです。

この歌を詠んだ三年後に、菅原道真は太宰権帥(だざいのごんのそち)に左遷され、その後亡くなってしまいます。

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