小倉百人一首 21-30
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30番歌 ありあけの(壬生忠岑)

藤村さき
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ありあけの つれなく見えし 別れより あかつきばかり うきものはなし

ありけの つれなくみえし わかれより あかつきばかり うきものはなし

後鳥羽院が定家と家隆に『古今和歌集』の名歌をたずねたときに挙がったと言われるのがこの歌です。定家は『顕註密勘(けんちゅうみつかん)』においてもこの歌を絶賛しています。

現代語訳

有明の月が見えたあなたとの冷たい別れのときから、暁ほどつらいものはありません。

有明の月とは

「有明の月」は、夜が明けても西の空に残っている下弦の月のことで、とりわけ「長月二十日の月」が美しいとされ、古典にもよく登場します。

「暁」は、夜明け前のまだ暗い時間帯です。

当時、宵に女の家を訪れた男は、あかつきに帰る、というならわしでした。

この歌は、そんな有明の月を見ながら別れた女性がそれ以降あってくれない、そのために有明の月を見るたびに思い出してしまってつらい、という内容の歌です。

ただ、解釈には諸説あり、定家は「月が冷淡に後朝の別れを見ていた」という解釈をしていたようです。

竹と下弦の月

作者:壬生忠岑

『古今和歌集」の撰者で、「三十六歌仙」のひとりです。

41番歌を詠んだ壬生忠見の父に当たります。

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