34番歌 たれをかも(藤原興風)
藤咲
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誰をかも しる人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに
たれをかも しるひとにせむ たかさごの まつもむかしの ともならなくに
現代語訳
年をとったわたしは誰を知り合いと呼ぼうか。昔からある高砂の松はまだここにあるけど、これにしたって別に昔からの友というわけでもないしなあ。
長寿である高砂の松を前にして、孤独な老人が長生きしてしまったがゆえに嘆いています。
年をとるにつれて、心に染み入ってくる歌です。
高砂の松
播磨国高砂(現・兵庫県高砂市)にあった松で、加古川の河口にあったと言われています。
「住吉の松」とともに有名な松で、『古今和歌集』仮名序にも登場し、のちに謡曲『高砂』の題材にもなりました。
作者:藤原興風(ふじわらのおきかぜ)
900年頃の人で、「三十六歌仙」のひとりです。
日本最古の歌論『歌経標式(かきょうひょうしき)』の著者である藤原浜成の曾孫にあたります。
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