小倉百人一首

38番歌 わすらるる(右近)

忘らるる 身をば思はず ちかひてし 人のいのちの 惜しくもあるかな

わするる みをばおもはず ちかひてし ひとのいのちの をしくもあるかな

この歌は『大和物語』八四段にあり、「忘れないよ」と約束した男が自分のことを忘れてしまったようなので、相手に送った歌です。結局男からの返事は聞くことが出来なかった、という結末もついています。八一段から連続した内容だとすると、相手は藤原敦忠ということになります。

現代語訳

忘れられてしまう私自身のことはなんとも思いません。でも私とのことを神に誓ったあなたの命が、その誓いを破ったがために失われてしまうのではないかと気がかりです。

『大和物語』八四段を参考に訳すと上のようになります。この場合は「二句切れ」での解釈になります。

「三句切れ」で解釈した場合、”忘れられてしまうわが身のことも省みずに神に誓ってしまったわたし。わたしも馬鹿よね”みたいな内容になります。ひとつの歌としてみた場合には、こちらでもありだと思います。

作者:右近(うこん)

醍醐天皇の中宮穏子(おんし・やすこ)に仕えました。

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