小倉百人一首

03番歌 あしびきの(柿本人麻呂)

あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む

びきの やまどりのをの しだりをの ながながしよを ひとりかもねむ

現代語訳

山鳥の長く垂れ下がった尾のように、わたしは長い長い夜をひとり寝るのだろうか

この歌を鑑賞する上で知っていないといけないこととして、

  • 山鳥は夜はひとり寝すると言われること
  • 山鳥の雄の尾は長く垂れ下がっていること

があります。

こうしたことを知っていないと、イメージが湧きにくいかもしれません。

山鳥の特徴を使って、長い夜をひとり寝するのかなあ?という、作者の思いを代弁させることで、相手にわびしい気持ちを訴えています。

ただ、この歌が本当に人麻呂が詠んだものかどうかは明確になっていません。

作者:柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)

柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)は西暦700年頃の飛鳥時代の人で、現在の奈良県天理市に本拠地のあった「柿本氏」の一族の生まれです。

持統天皇の時代を中心に「宮廷儀礼歌」と呼ばれる歌を多く詠みました。

関連記事→02番歌 はるすぎて(持統天皇)

また妻の死を悲しむ「泣血哀慟歌(きゅうけつあいどうか)」など私的な部分を表現した歌も多く詠み、人間の愛や死にも向き合った歌人です。

「三十六歌仙」のひとりで、山部赤人とともに「歌聖」とも呼ばれています。定家の時代には「歌神」とあがめられて崇拝されていました。

関連記事→04番歌 たごのうらに(山部赤人)

人丸影供(ひとまるえいぐ)

人丸を描いた画の横に「讃」として

ほのぼのと 明石の浦の 朝霧に 島隠れ行く 舟をしぞ思ふ[『古今和歌集』羇旅(きりょ)・四〇九・読み人知らず]

という歌を書き添えて室内に掲げ、お供え物をして和歌を詠むのが「人丸影供(ひとまるえいぐ)」という儀式です。

この歌は人丸の代表歌として流布していましたが、実際は「読み人知らず」となっています。

人麻呂を祀る神社

柿本人麻呂を祀る神社は各所にあり、有名なものとしては

  • 高津柿本神社(島根県益田市)
  • 柿本神社 (兵庫県明石市)

などがあります。

ヤマドリ

ヤマドリ

俗信

年老いて尾が十三節になったヤマドリは、人を騙したり人魂のように光る、などと言い伝えられています。

鬼退治の矢

長野県には「八面大王」という、坂上田村麻呂が鬼を退治する物語が伝わっています。そこでは「三十三節ある山鳥の尾で弓矢を作り満願の夜に射たおしなさい」と観音さまからお告げを受けています。

県鳥として

群馬県と秋田県がヤマドリを県の鳥としています。

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