小倉百人一首 61-70
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62番歌 よをこめて(清少納言)

藤村さき
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夜をこめて 鳥のそらねは はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ

こめて とりのそらねは はかるとも よにおふさかの せきはゆるさじ

現代語訳

夜が明けていないのに、鳥の鳴きまねをして朝だよとだまそうとしても、逢坂の関の関守はだまされないし、わたしもだまされたりしないですよ。

歌の背景

この歌は中国の『史記』にある「函谷関の鶏」の故事をふまえています。その故事は、通常は夜明けの鶏が鳴くまで開かない関を、鶏の鳴きまねが上手いものが鳴きまねをしてだまして開けさせた、というものです。

『枕草子』では、この歌が詠まれたいきさつが書かれています。

それによると、藤原行成としゃべっていたとき、行成が急に「用事があったわ」と言って帰ったそうです。それで次の日に会ったとき、行成が「昨夜は夜明けを告げる鳥が急き立てるから帰ってしもたわー」とか言ってきたので、清少納言が「鳥は鳥でも函谷関の鶏やろ?(=いや嘘やろ、あんた帰りたかっただけやろ)」って言ったらしいんです。

そしたら行成が「いやいや、函谷関やなくて逢坂の関やよー(=本当にあんたと逢ってたかったんやでー)」っていう歌を送ってきたので、「いや、だまされたりもせんし、だいたいお断りやし」って返したのがこの歌です。

さらに行成は「いやいや、逢坂の関はいつでも開いてるらしいでー。あんたもいつでも待っててくれてるんやろ?」みたいな返歌を送っています。

これだけ聞くと口説いたり口説かれたり振られたりしてるように感じちゃいますが、これはどうやらただ漢籍を使った知的なおしゃべりを楽しんでただけで、深い意味はないようです。

作者:清少納言

一条天皇中宮定子に仕え『枕草子』を書いた女性です。

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