小倉百人一首

69番歌 あらしふく(能因法師)

あらしふく み室の山の もみぢばは 竜田の川の 錦なりけり

あらふく みむろのやまの もみぢばは たつたのかはの にしきなりけり

後冷泉天皇のとき「永承四年内裏歌合」で、「紅葉」を題として詠まれた歌です。

現代語訳

激しい風が吹いて散る三室の山のもみじの葉は、竜田川を彩る錦だったのだなあ。

嵐に吹かれるもみじの葉が、舞い散って川を彩る。川に浮かぶもみじの様子を「錦」に見立てています。

「山」と「川」が対比になっているだけではなく、もみじが舞い散る「動」と川に静かに浮かぶ「静」まで対比になっている感じですね。

「み室の山」

「み室の山」というのは、竜田川下流の奈良県生駒郡斑鳩町にある山で、漢字で書くと「三室の山」となります。

『古今和歌集』秋下・二八四・読み人知らずの歌には、

竜田川もみぢ葉流る神奈備の三室の山に時雨降るらし

というのもあるようですよ☆

作者:能因法師(のういんほうし)

「中古三十六歌仙」のひとりです。

能因法師は、『枕草子』の伝能因本を持っていた人です。

俗名は橘永愷(たちばなのながやす)といい、清少納言とも縁続きにあたります。

能因法師雨乞いの樟(のういんほうしあまごいのくすのき)

愛媛県今治市大三島の大山祇神社境内にあった、日本最古のクスノキの巨樹の前で、1041年に能因法師が雨乞いをしたそうです。

このことは『能因法師集』や『金葉和歌集』などにも詠まれています。文献によって若干内容が異なりますが、『能因法師集』の内容が定説とされています。

本当に雨が降って、喜んだ村人は能因法師に餅を送ったそうですよ。

このクスノキは現在は枯れてしまっていますが、一部が残っており、国の天然記念物「大山祇神社のクスノキ群」の一部になっています。

感想

この歌からは、その場所を知らない人でも風景が目の前に浮かんできます。激しい風によって、川にもみじの葉が散り、美しく流れていますね。

内裏での歌合で詠まれた歌ですが、そのときの参加者たちが美しい風景を想像して、「ほぅ」とためいきをついている光景まで浮かんでくるようです。

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