小倉百人一首 21-30
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29番歌 こころあてに(凡河内躬恒)

藤村さき
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心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花

こころてに をらばやをらむ はつしもの おきまどはせる しらぎくのはな

白い「初霜」と「白菊」。そのふたつが混じりあって、幻想的な美しさが冷たい輝きとともに、目の前に「白い世界」が広がります。

現代語訳

よく注意して折るなら折れるだろうか。初霜がおりて目を惑わせる白菊の花を。

綺麗に折ったら折れるなあ? 初霜がおりてよく見分けがつかないけど、綺麗な白菊の花だなあ♪っていう感じでわたしは解釈しています。

「心あてに」の解釈について

「心あてに」で、”当てずっぽうに”という意味であるとしている本と、”心を込めて・注意して”という意味である、としている本があります。

どちらが正しいのかという判断は保留にしておきますが、たしかに”当てずっぽうに折ろうかな”では何か違う気がします。

感想

思わず手折りたくなるような美しさです。霜の中の白菊を愛でながら指でつんつんしているのでしょうか?だとしたらミツネちゃん可愛すぎます♪

紀貫之の歌でも思いましたが、凡河内躬恒の歌も、美しく仕上げているのに遊び心や人となりを感じるというか、すごく自然な感じがして、なぜか心がほっこりする歌だなあと思います。

作者:凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)

「三十六歌仙」のひとりです。

宇多天皇・醍醐天皇の時代、9世紀後半から10世紀前半に活躍しました。

宮廷歌人としての名声は高く、家集に『躬恒集』があります。

また延喜五年(905年)には、紀貫之・紀友則・壬生忠岑と共に『古今和歌集』の撰者に任じられています。

語句と文法

「折らばや折らむ」の「ばや」。

ここでは”仮定条件を表す「ば」”と”疑問の助詞「や」”に分かれます。

「ばや」には願望を表す終助詞もありますが、そちらではありません。

そして、最後の「む」は助動詞の連体形……そう、「や」+「連体形」で「係り結び」になっています。

係り結び(係助詞によって文末の活用形が決まる)

ぞ・なむ・や・か → 連体形になる

こそ → 已然形になる

競技かるたの「おきまど」の語源でもある

競技かるたにもいろいろなやり方があります。

数人で100枚の札を並べて早取りを競う「ばらとり戦」は、この歌に洒落て「おきまど」と呼ばれることもあるようです。

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