36番歌 なつのよは(清原深養父)
藤咲
咲くやこのはな
やまがはに かぜのかけたる しがらみは ながれもあへぬ もみぢなりけり
『古今和歌集』(秋下・三〇三)の詞書に「志賀の山越えにてよめる」とあります。
「志賀の山越え」は京都から志賀に抜ける山道のことで、志賀寺(崇福寺)参詣の定番ルートでした。また桜の名所としても有名です。
山の中を流れる川に風がかけたしがらみとは、流れきらない紅葉のことだったのですね。
「山川」は”やまがわ”と読み、山の中を流れる川のことです。
「しがらみ」は、川の流れをせき止めるために杭を立てて芝などを絡ませた柵のことです。
自然そのままの風景に人間的な意味を見出した歌です。
志賀の山越え中に「疲れたなー」とか思ってふと立ち止まったときに、そこにあった綺麗な風景を見て思わず詠んだ歌なんじゃないかなー?なんて思ってしまいます。周りの人は「おー!」とか言ってる、そんな光景まで浮かんでくるのは深読みしすぎでしょうか。
西暦900年頃のひとで、醍醐天皇に仕えました。
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