小倉百人一首 51-60
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58番歌 ありまやま(大弐三位)

藤咲
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ありま山 ゐなの笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする

ありやま ゐなのささはら かぜふけば いでそよひとを わすれやはする

 出典は『後拾遺和歌集』。

 その詞書には「かれがれになる男の、おぼつかなく、など言ひたるによめる」とあります。

 訪れが途絶えがちになった男が「わたしのことを忘れてないか気がかりです」と言ってきたので、言い返した歌です。

現代語訳

有馬山から猪名の笹原へと風が吹いて、そよそよと笹の葉は揺れます。それと同じでわたしの心もあなたに揺られ、どうして忘れたりなどするでしょうか。

 男が来るか来ないか、期待と不安で心が揺れる。そんな「揺れ動く心」が風に揺れる笹原と重なります

 咄嗟にこんな返しが出来るなんて、すごいと思います。

有馬山

 摂津国有馬(現在の兵庫県神戸市)あたりにある山です。

猪名の笹原

 摂津国河辺郡にあった笹原です。

 現代でも「猪名川」は兵庫・大阪あたりを流れています。

作者:大弐三位(だいにのさんみ)

 紫式部の娘で、母と同じく中宮彰子に仕えました。

 文才もあったようで、『狭衣物語』(作者不明)の作者ではないかとも言われています。

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