小倉百人一首 51-60
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57番歌 めぐりあひて(紫式部)

藤咲
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めぐりあひて 見しやそれとも わかぬまに 雲がくれにし 夜半の月かな

ぐりあひて みしやそれとも わかぬまに くもがくれにし やはのつきかな

 決まり字は一文字目の「め」。一字決まりの七首「む・す・め・ふ・さ・ほ・せ」のひとつです。

 『新古今和歌集』から選ばれた一首です。

 その詞書によると、「幼馴染に久々に会ったのに、本人かどうかも分からないうちにあわただしく帰ってしまった」ことを詠んだ歌だそうです。

 『紫式部集』の巻頭歌に置かれた一首でもあります。また、最後を「やはのつきかげ」としているものもあります。

現代語訳

 やっとあえたのに、夜半の月が雲に隠れてしまうかのように、あっという間に見えなくなっちゃったわ。

 という感じの歌です。

 詞書のとおり、あっという間に帰ってしまった幼馴染に対して詠まれました。月を幼馴染に見立てた歌です。

 詞書がなければ、幼馴染にあったときのことを書いているなんて分からない歌です。それでも、相手が誰だか分からなくても、雰囲気や状況がしっかりと伝わってくる歌です。

作者:紫式部

 『源氏物語』や『紫式部日記』の作者として有名で、歌人としても優れた女性です。

 よく清少納言と仲が悪かった、という風に描かれますが、実際にふたりに面識があったかどうかは定かではありません。

 仲が悪かったとされる理由は、紫式部が『紫式部日記』のなかでで清少納言のことをあまり良いように書いていないからです。紫式部は、伝え聞く清少納言の言動があまりお気に召さなかったようです。

 また、当時は一条天皇の后として「皇后定子」「中宮彰子」のふたりが並び立つという、「一帝二后」「二后並立」という異例の状態でした。

 紫式部は中宮彰子に仕えており、清少納言は皇后定子に仕えていたことから、立場上も仲良くする雰囲気ではなかったのかも知れません。

 58番歌の作者である大弐三位(だいにのさんみ)は、紫式部の娘にあたります。

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