66番歌 もろともに(前大僧正行尊)
藤咲
咲くやこのはな
あさぼらけ うぢのかはぎり たえだえに あらはれわたる せぜのあじろぎ
出典は『千載和歌集』冬四一九。叙景歌です。
夜が明けるころ、宇治川にたちこめていた川霧がとぎれとぎれになって、次第にあらわれてくる浅瀬にかけられた網代木よ。
宇治は貴族の別荘があった土地です。
そして宇治川では、網代をつかった氷魚漁が盛んでした。
『蜻蛉日記』『更級日記』にも、宇治川で網代をみたときのことが記されており、『源氏物語』総角(あげまき)巻でも網代見物に出かける場面があります。
11世紀前半頃の人で、「中古三十六歌仙」のひとりです。
60番歌(作者:小式部内侍)の歌と関連する人物です。
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