75番歌 ちぎりおきし(藤原基俊)
藤咲
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ちぎりおきし させもが露を いのちにて あはれ今年の 秋もいぬめり
ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて あはれことしの あきもいぬめり
出典の『千載和歌集』詞書によると、息子が「維摩会(ゆいまえ)」という興福寺の10月の行事で講師になれるよう願っていたがなかなかなれず、藤原忠通にお願いしたら「任せろ」と言ったのに、今年もなれなかったので詠んだ、恨み節の歌です。
現代語訳
約束してくださった「私を頼りにしていなさい」というひとことを頼みにして待っていたのに、なんということか、今年の秋もむなしく去っていくようです。
作者は息子(光覚)さんのことをかなり溺愛していたようで、家集である『基俊集』にも何度か光覚のことが書かれています。
作者:藤原基俊
11世紀後半~12世紀前半頃の人。堀河天皇・鳥羽天皇・崇徳天皇に仕えました。
漢詩文にも通じ『新撰朗詠集』を撰集し、歌壇では指導者的な立場で活躍して晩年には藤原俊成を弟子に迎えました。
書家としても名がとおっています。
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