小倉百人一首

83番歌 よのなかよ(皇太后宮大夫俊成)

世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる

よのなか みちこそなけれ おもひいる やまのおくにも しかぞなくなる

「述懐百首」(『千載和歌集』雑中・一一五一)から選ばれた歌です。

”述懐”とは「思いを述べる」という意味で、嘆きを他者に訴える場合が多く、この歌も例外ではないようですね。

現代語訳

ああこの世の中には逃れる道などないんだなあ。思いつめて入ったこの山の奥にも、鹿が悲しそうに鳴いているようだ。

遁世の決意をして山に入った作者が、鹿の悲しそうな声を聞いてしまって、この世を嘆く。という感じですね。

作者:皇太后宮大夫俊成(こうたいごうぐうのだいぶしゅんぜい)

藤原俊成のことで、撰者定家の父にあたります。

苦労して育ち、役人としても不遇でしたが、歌人として高い評価を得て大御所となった人物です。後鳥羽院に九十の賀を催していただいた翌年、大往生を遂げました。

『千載和歌集』を撰集し、『古来風躰抄』という歌論書も著しています。

「幽玄」「艶」という美的理念を和歌において確立し、後世に大きな影響を与えました。

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