90番歌 みせばやな(殷富門院大輔)
藤咲
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見せばやな 雄島のあまの 袖だにも ぬれにぞぬれし 色はかはらず
みせばやな をじまのあまの そでだにも ぬれにぞぬれし いろはかはらず
本歌取りの一首で、『後拾遺和歌集』恋四・八二七の、源重之の歌からとられています。
現代語訳
あなたに私の着物の袖をお見せしたいわ。あの松島の雄島の漁師の袖さえ、濡れても濡れても色は変わらないのに、私の袖は悲しみの涙で赤く染まっているわ。
この当時、悲しみの涙は血で染まっていて赤い色をしている、とされていました。
「雄島」は現在の宮城県松島にある島のひとつです。
作者:殷富門院大輔(いんぷもんいんのたいふ)
後白河天皇皇女亮子内親王に仕えました。
藤原定家とも親しく、多くの歌を詠んだので、歌人仲間からは「千首大輔」とも呼ばれたらしいです。
鴨長明は『無名抄』において、彼女を「近代の和歌の上手」として挙げています。
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