43番歌 あひみての(権中納言敦忠)
藤村さき
あひみての のちの心に くらぶれば 昔は物を 思はざりけり
あひみての のちのこころに くらぶれば むかしはものを おもはざりけり
”後朝(きぬぎぬ)の文”とみられています。
現代語訳
あなたと男女の仲になったあとの苦しさに比べれば、以前していた物思いなど、たいしたことではなかったのだなあ。
この恋の相手が誰だかは明確ではありませんが、『敦忠集』によると二人の仲は父親の妨害で引き裂かれてしまいます。
作者:権中納言敦忠
藤原敦忠のことです。「三十六歌仙」のひとりです。
美男子で管弦にも優れた人物でした。
母方をたどれば17番歌の作者在原業平の子孫にあたります。また右近との恋も知られており、38番歌は敦忠にあてたものだとされています。
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