82番歌 おもひわび(道因法師)
藤咲まよい
咲くやこのはな
よもすがら ものおもふころは あけやらで ねやのひまさへ つれなかりけり
※3句目が「あけやらで」となっている本と「あけやらぬ」になっている本があります。
一晩中恋に悩んでいる今日この頃は、なかなか夜が明けず、寝室の戸の隙間までも真っ暗なままで、無常に感じることよ。
作者は男性僧侶ですが、女性の気持ちになって詠んだ歌です。
訪ねてこない男を待って一晩中物思いにふける女は、部屋の戸の隙間を見つめます。しかしそこには朝日さえ差し込んできません。
東大寺の僧で、71番歌の作者経信(つねのぶ)の孫にあたり、74番歌の作者俊頼(としより)の子にあたります。
鴨長明は俊恵法師を師としており、『無名抄(むみょうしょう)』に多くの言説を書き残しています。