42番歌 ちぎりきな(清原元輔)
藤咲
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ちぎりきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波こさじとは
ちぎりきな かたみにそでを しぼりつつ すゑのまつやま なみこさじとは
『後拾遺和歌集』恋四の詞書によると、女性に裏切られた男性に代わって作者が読んだ、代作の歌だということです。
現代語訳
約束しましたよね。お互いに涙で濡れた袖をしぼりながら、末の松山を波が越えることがないように、わたしたちも決して心変わりしないと。
心変わりしないと誓った相手(女性)が心変わりしてしまった、そんな相手をなじる歌です。
本歌取りの一首
原歌は以下です。
君をおきて あだし心を わが持たば 末の松山 波も越えなむ[『古今和歌集』東歌(あずまうた)・一〇九三]
「末の松山」
「末の松山」の古跡は、宮城県多賀城市にあります。
伝承によると、どんな大波もここには打ち寄せないとされています。
なので、そこを波が越えることがないくらい、心変わりなんてしないよー、という意味になりますね。
作者:清原元輔
『後撰和歌集』の撰者で、「三十六歌仙」「梨壺の五人」のひとり。
36番歌の作者清原深養父の孫にあたり、62番歌の作者清少納言の父でもあります。
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