小倉百人一首 51-60
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51番歌 かくとだに(藤原実方朝臣)

藤村さき
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かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしもしらじな もゆる思ひを

とだに えやはいぶきの さしもぐさ さしもしらじな もゆるおもひを

『後拾遺和歌集』の詞書には「女にはじめてつかはしける」とあり、ある女性に初めて手紙を送ったときに詠んだ歌らしいです。

現代語訳

このように恋していることをわたしは言うことができません。伊吹山のさしも草が燃えるように燃えているわたしの心を、あなたはご存じないのでしょうね。

技巧的ゆえに賛否両論がある

「いぶき」が「伊吹山」「言ふ」の掛詞、「さしも草」から「さしも」を導き、「思ひ」から「火」をかけています。

このように、序詞・掛詞・縁語をふんだんに散りばめてつくられています。

この込み入った技巧のために賛否両論が昔からあり、評価が分かれる歌であることも事実です。

作者:藤原実方朝臣(ふじわらのさねかたあそん)

出世街道を走りながら、陸奥守に任ぜられて同地で没しました。

『古事談』によると、50番歌の作者藤原行成と争いその冠を地に投げた場面を一条天皇に見られたことで左遷された、と言われています。

当時の男性にとって、頭をさらすということはとても恥ずかしいことですので、事実なら大スキャンダルだったでしょう。

998年に没したとされますが、詳しくは分かっていません。

他にもいろいろな逸話や伝説が残った人物です。

死因についても「神様の前を馬に乗ったまま通過しようとしたので、神の怒りにふれ落馬した」とも言われ、『今鏡』では、死後に雀となって清涼殿(宮中)に戻ってきたともされています。

また、清少納言と関係があったとも言われています。

関連記事→62番歌 よをこめて(清少納言)

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